南カルフォルニアの砦
2006年11月3日その日の夜、僕と友人のNは湘南海岸に連続して並んでいるバーにいた。
「トキメキがない」と彼は言った。
「そう、トキメキがない」と僕も言った。
彼は某有名大学で経営学を学んでいる、今を生きる青春白書の大学生。
「大学は、君が思っているほど出会いなんかないんだ。同じ学科同士でさえ話すことなんかない。共通の話題がないんだ。齢も離れているし、俺だけが部外者のように感じるんだ」
校内の中央の道筋に沿うようにして生えている芝生。
そこには、何人かの生徒が寝転んでいる。
校内の中央に作られている噴水からは、水しぶきが宙を舞い、それは微かに虹を作り出す。
生徒達の笑い声が鼓膜を通して右から左へと流れてゆく。
僕の大学の先入観でのイメージ。
それは、現実での大学のそれとは違うらしい。
「例えばの話だ。君は全く面識のない、自分好みの娘がいたらすぐさま話しかけに行くか?」と彼は僕に尋ねた。
「面識が全くないのであれば、そのキッカケを作ればいいのさ。消しゴムなんかをその娘の足下に投げたりして、『あぁ、ごめん。悪かったね。そういえばさ、この前の宿題でどうしてもわからないところがあるんだけど、君はわかった?』なんて風にさ」と僕はニヤけながら言った。
「それ、何度も聞いたよ」と彼は笑ってビールを一口飲んだ。
「トキメキ」
「トキメキ」
「俺は運命の人ってのがいつか現れることを信じてるね。色々苦労もあったんだ。それくらいの褒美くらいないとやっていけない。」と、僕は火をつけていないタバコを口に咥えながら言った。
「そんなの、本当にあるのかな。」
「あるさ。間違いない。可能性はある。第一、俺は運命の人にはもう何人も出会ってきてるからね。この湘南の海が全て何かに吸い込まれちまうくらいの可能性より、女の子と出会う可能性のほうが遥かに高い」と僕は言った。
そう、この世の全ての現実事象における出会いは、神の悪戯によって操作されている。
あたかも、天から糸を吊るして、操り人形を操作するみたいに。
支配されているのだ。
それは、神の手により。
それは、己の意思や行動により。
全ては他人事のように誰かに自分を支配されているのだ。
その僕の運命の人の1人でもあるユミ(仮名)とは、高校時代に知り合った。
ユミとは1度付き合い、そして別れた。
何が原因だったのかは、詳しくハッキリ思い出すことができない。
続く。
「トキメキがない」と彼は言った。
「そう、トキメキがない」と僕も言った。
彼は某有名大学で経営学を学んでいる、今を生きる青春白書の大学生。
「大学は、君が思っているほど出会いなんかないんだ。同じ学科同士でさえ話すことなんかない。共通の話題がないんだ。齢も離れているし、俺だけが部外者のように感じるんだ」
校内の中央の道筋に沿うようにして生えている芝生。
そこには、何人かの生徒が寝転んでいる。
校内の中央に作られている噴水からは、水しぶきが宙を舞い、それは微かに虹を作り出す。
生徒達の笑い声が鼓膜を通して右から左へと流れてゆく。
僕の大学の先入観でのイメージ。
それは、現実での大学のそれとは違うらしい。
「例えばの話だ。君は全く面識のない、自分好みの娘がいたらすぐさま話しかけに行くか?」と彼は僕に尋ねた。
「面識が全くないのであれば、そのキッカケを作ればいいのさ。消しゴムなんかをその娘の足下に投げたりして、『あぁ、ごめん。悪かったね。そういえばさ、この前の宿題でどうしてもわからないところがあるんだけど、君はわかった?』なんて風にさ」と僕はニヤけながら言った。
「それ、何度も聞いたよ」と彼は笑ってビールを一口飲んだ。
「トキメキ」
「トキメキ」
「俺は運命の人ってのがいつか現れることを信じてるね。色々苦労もあったんだ。それくらいの褒美くらいないとやっていけない。」と、僕は火をつけていないタバコを口に咥えながら言った。
「そんなの、本当にあるのかな。」
「あるさ。間違いない。可能性はある。第一、俺は運命の人にはもう何人も出会ってきてるからね。この湘南の海が全て何かに吸い込まれちまうくらいの可能性より、女の子と出会う可能性のほうが遥かに高い」と僕は言った。
そう、この世の全ての現実事象における出会いは、神の悪戯によって操作されている。
あたかも、天から糸を吊るして、操り人形を操作するみたいに。
支配されているのだ。
それは、神の手により。
それは、己の意思や行動により。
全ては他人事のように誰かに自分を支配されているのだ。
その僕の運命の人の1人でもあるユミ(仮名)とは、高校時代に知り合った。
ユミとは1度付き合い、そして別れた。
何が原因だったのかは、詳しくハッキリ思い出すことができない。
続く。
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