プレゼント

2006年12月17日 日常
1・2週間ごとに通っている精神病院に行ってきた。
明日から仕事に復帰するため、診断書などを書いてもらうのが今日の目的だった。

「体調はどうですか?」僕の眼を真っ直ぐ見つめながら医者は言った。

「・・・え、ええ。バッチリですよ」と、明日から始まる日々の不安を隠すことができずに
僕は言った。
そんな「明日」という何も掴むことはできない「明日」への不安を纏い、僕は帰路に立った。

僕の地元の駅にはいつもたくさんの観光客で賑っている。
古きよき建物、泰子の時代からある大仏、時間が昔のまま止まっているかのような駅。
まるで、そこの時空の空間がどこかの時代で止まり、その空間だけが
ずっと動かずに、外の世界だけが儚く瞬く間に過ぎ去っていくかのようだ。

僕はふと、周りの建物を見回してみた。
微かなる時代の匂いを漂わせ、その建物達は今も生きていた。
赤茶色に色あせた建物の材料に使われている木材は、この幾度となく迎える「冬」を何回
越えてきたのだろうか。
駅の中央の上部に飾られている(この駅のトレードマークとも言える)秒針時計は、
ゆっくり、気の向くままその針を右へ左へと進ませている。

古きよき、鎌倉。

風が冬の匂いを運び、木々はざわめき、その音は人ごみを通り抜けてゆく。
外国人も多く見られ、名も知らぬ者はデジタルカメラで、また名も知らぬものは
1眼レフカメラなどを使い、僕の故郷をしっかりと写していた。

あぁ、鎌倉。
古き、よき、鎌倉よ。

もうすぐクリスマス。
時代と共に人の思考も変わり、昔と変わらぬまま聳え立っている木々には
この駅にしては少し派手とも言える「お飾り」が施してあった。
信号機の鳴る音と共に、その「お飾りの木達」は遠くなっていく。

僕に関係のないはずのクリスマスが目前に控えていると知り、
「寂しさ」という小悪魔のちょっとしたプレゼントを、僕は受け取った。

寂しさ 身に纏い
孤独に 生き
それを 我 受け止む

小悪魔は尻尾を振りながら去って行った。
僕はただそのプレゼントを抱え、立ちすくんでいた。

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